『日はまた昇る』『武器よさらば』『移動祝祭日』
さて、2016年に入ってから昨年を思い返すと、ヘミングウェイをよく読んだ1年だったなと思う。どうもこれまでヘミングウェイの作品に惹かれなくて手に取る機会がなかったのだけど、やはりアメリカ文学が好きですと公言する以上はひと通り読んでおくべきかと感じた次第です。
以前に短編集を読んでいるので、新たに購入して読んだ作品は下の3作。
- 作者: アーネストヘミングウェイ,高見浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
- メディア: ペーパーバック
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ヘミングウェイの作品って不思議なもので、読んでいると無性にワインが飲みたくなるんですよね。ワインというか、表現としては葡萄酒といったほうがしっくりくるのかもしれない。 例えば『日はまた昇る』だと、友達との旅行中、釣りをしながら暖かい陽射しの中で飲む。『武器よさらば』であれば、オイルと汗の臭いが充満した兵舎にて戦友達と宴会。『移動祝祭日』だと、カフェから通りを眺めながら飲んだり。
作品の印象としてはどうか?やはり、どうもこの人の書く長編小説は自分に合わないのかもしれないと再認識しました。息の長いリズムを感じられないんですよね。ひとつひとつのシーンを思い返すと非常に印象深い描写があって、その場の匂いや暖かさや寒さ(特に芯から冷えるようなパリの冬とか)を思い返すことができるのだけれど、全体としてどうだったかを考えるとなぜか頭の中がボオッとしてしまう。シーンが断絶しているように感じられてしまって、なかなか読み進めることができなかったのが正直なところです。
その一方で、短編はとても好きです。移動祝祭日の冒頭、『サン・ミシェル広場の気持のいいカフェ』は至高ですね。それにフィッツジェラルドに関するエピソードは文体が活き活きしていて、やはりこの人はジャーナリストであるべきで、現実の世界を多面的に語ることに力を注ぐべきだったのではないか。