私がラジオジプシーだったころ

アメリカ文学とか映画とか。

ボブ・トマス著 『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』

http://instagram.com/p/hnNMfPzZdz/

 

ふらっと立ち寄ったブックオフで購入。なによりドライブ感のある翻訳が素晴らしくて、引き込まれるように読み進めることができた。

目次は以下のとおり。

  • 第1部 中西部時代
  • 第2部 漫画づくり
  • 第3部 アニメーションの新世界
  • 第4部 広がる地平
  • 第5部 そして、夢

特に面白いのは第1部の中西部時代で、ウォルトがいかに苛烈な少年時代を送ったのかが描かれている。青年になり、第1次世界大戦に志願してヨーロッパに行くくだりはまるでヘミングウェイの小説みたいだった。アメリカに帰ってきて漫画を書き始め、アニメーションの世界を作り上げていく過程もとてもドラマチックで、業界で伝説にすらなっている詐欺師に引っかかったり、相棒ともいえるアニメーターを買収され引き抜かれたりもする。苦労して作り上げたアニメーションは芸術として高い評価を得るのだけれど、ウォルト・ディズニーランドを立ち上げるまでは経営が安定していなかったというのも初めて知ったし、ウォルトが鉄道オタクだったというのも驚きがあった。また、兄のロイ・ディズニーがどれだけ重要な人物だったのかということも理解できる。彼なしでは、ほとんど何も成し遂げられなかったのではないだろうか。

 

この本自体は現在絶版になっているようなので、多くの人が読める機会が少ないのが残念だと思う。図書館や古書店で見かけた際は是非手にとってみて下さい。